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天パに悩むそこの人類、天パと仲良くなりなさい。

天パに悩んで、ここに辿り着きましたか?

たまたま、ここに辿り着きましたか?

神のお告げにより、ここに辿り着きましたか?

 

こんにちは。天パの神様です。

この記事は、ちっちゃい頃から天パに悩んできたけど、天パを克服してきた僕の歴史が記されています。

僕の伝記と言っても過言ではありません。

一切の画像などもありません。

「なんだ、ただの読み物か」

そういった記事ですので、トイレをしながら読むことをお勧めします。

 

と、前置きはこのくらいにして今からが本編です。

 

「天パに悩むそこの人類、天パと仲良くなりなさい」

生まれた時〜小学校卒業編

1991年、僕はこの世に降臨。

もちろん記憶はほぼない。しかし、母から何度も聞かされた話がある。

「生まれた時、おじいちゃんがあなたを初めて見た時に『いやー!猿みたいにもじゃもじゃ』と言ってたわ」と。

そんなことを言ったじいちゃんもじいちゃんだが、

それを本人に伝えるおかんもおかんだが、

つまりは、母の胎内で細胞分裂を繰り返す時点で僕はすでに天パという、天性の才能をもって生まれてきたということ。

しかし、残されている0歳から1歳くらいの写真を見るとそんなに天パではなく。むしろストレートに近い。本当にこれは僕なのか?

 

そう思っていた時期が僕にもありました。

 

それ以降の写真を見ると、見事にクルクルが開花しており、こめかみの部分やもみあげなどは正気の沙汰ではない。

 

小学校に入学したころ、徐々に周りとの違いを認識し始め、自分の髪の毛がクルクルなことに気づき始めたのを覚えている。

幸いなことに、周りには仏のような仏達が多かった事もありイジられたりすることはほとんどなく、でもそれはそれで気にしてしまうのがまだ人間だった頃の僕。

特にこめかみのクルクル加減など気になって仕方なかった様子だった。

 

そこからが、僕の短髪ライフの始まり。

「短くすれば、天パに悩まされる事もなくなっていいじゃないか」

しかし、この選択は今思えば間違いだった。

短くてもクルクルするものはクルクルする。

そして、髪の毛はたわしの如くゴワゴワする。

しかし、こめかみやもみあげのクルクルに悩まされるくらいならその方がマシではないか。

そう思いながら、僕は短髪で生き抜いていくことを決意した。

 

小学校高学年のころには、こめかみやもみあげ周りが短く頭頂部にかけて少し長くなる、当時流行っていたソフトモヒカンヘアーが僕の頭部には定着しており、それが高校2年生ごろまで続くこととなった。

 

中学校入学〜卒業まで

中学校に入学した。思春期大戦争時代。

見た目を気にし、異性からの評価を気にし、世の中に反抗したくなるアレ。

この頃にはすでに、僕の頭部にはソフトモヒカンヘアーが定着しており、天パに悩まされることは減ってはいましたが、細かいところが気になる。

 

そう、

「髪の毛が伸びてきたときのクルクル」

問題。

 

毛母細胞の分裂は、毛母細胞が残存している限り起こり得る。

つまり、髪の毛は短く切っても伸びてくる。

伸びるとどうなるのか。

こめかみやもみあげの部分がクルンとなり、レッドブルの缶に描かれている牛のような、前衛的で攻撃的スタイルになってしまう。

そうすると威嚇されていると思った人類が、日常的に攻撃してくるリスクだってある。

知恵を備え始めた中学生はよく分からないことを考えるのである。

 

また、中学では部活動が盛んになるのが一般的だと思う。僕は体育館競技のスポーツを選んだのだがそれが間違いでもあった。

 

暑い。

蒸される。

汗を大量にかく。

なかなか乾かない。

髪の毛が濡れる。

 

まあまだここまではいい。

部活が終わり外に出る。気持ちいい。優しい風が肌を通り抜けていき、熱くなった身体を冷やしていく。

 

そして髪の毛も乾かしていく。

 

 

やさしく冷たい風が中途半端に乾かしていく...

 

 

 

髪の毛が徐々に...

 

 

 

 

徐々に正気を失い始める...

 

 

中途半端に乾かされた髪は正気を失い、360度3Dでうねりをあげ、頭部はお祭り騒ぎ。

こめかみやもみあげなんかはもう前衛的で発情した牛の如く興奮している。

そんなときに気になっている女の子に出会ってしまったらどうか。

世は思春期大戦争時代である。

考えただけでも恐ろしい。

 

そうして、僕は迷った。髪生に迷った。

まるで真っ暗闇のトンネルの中を彷徨っているような、出口の見えない道を気づけば歩いていた。

歩いても歩いても光は見えず、同じくして僕の髪の毛もさらに正気を失っていった。

 

結局、中学時代は髪生に迷い続け、

短めの坊主

角刈りヘアー(これは事故)

五厘の坊主

普通の坊主

など髪生に血迷った結果、やっぱりソフトモヒカンに落ち着くといった天パ黎明期とも言える時代となったのである。

 

高校入学〜天パと仲良くなるまで

中学の修行僧のような天パ黎明期を終え、高校に入学。この時期は天パ軽減ヘアーであるソフトモヒカンで過ごしていた僕。

心機一転、新たな部活動にも入った。

しかしながら、入った部活が想像以上にしんどかったせいもあり

 

起きる

学校へ行く

寝る

部活

帰ってご飯食って寝る

 

を繰り返していた。部活の疲れから、この頃は徐々に天パで悩むことが少なくなっており、天パと程よい距離を置いた時期でもあった。

 

 

ここから少し脱線して。

そんな日常が過ぎていたある日。

部活の帰り、なにか授業中に読めるものはないかと家の近所のBOOKOFFに立ち寄った。

そこで、一際輝いて見えた背表紙があった。

井上雄彦の『バガボンド』である。

吉川英治の小説「宮本武蔵」を原作にしたマンガである。

小説自体は、中学の時たまたま図書室で時間を潰そうとしたとき、癖のある社会科かなんかの先生に捕まり、お勧めされて読んだことがあった。

しかし、当時は天パに悩まされ続けていた思春期大戦争時代。内容はよく分からなかった。

 

 

バガボンドを手に取り、何ページかめくる。

 

なんかこれ、知っている気がする。

 

でも、なんか知らない気もする。

 

買ってみるか。

 

 

そうして、何巻か買っていった。

なんか、深いことを言ってるけどよく分からない。又八はなんか腹立つ。おばばの顔ヤバい。武蔵はすごい強い。おつうはかわいい。沢庵、ほんとに和尚さん?

最初はこんな感想だった。

まあ、よく分からなかったけど、いいや。そんな事よりもっと部活でいい成績を残したい。もっと上手く強くなりたい。そんな時期でもあった。

 

それから半年ほど経ち。

部活が身を結び、全国大会へ出場も決まり大会が直近に迫っていた頃。

 

 

怪我をした。

 

 

右足の膝だった。手術もした。

これは術後に分かったことだが、軟骨が削られささくれになり、それが神経に当たって炎症かなんかを起こし続けていた。

担当のドクターからは

「これ以上無理はさせられない。高校までなら何とか面倒を見れる。でもそれ以上やれば普通に歩けなくなる可能性だってある。」

 

 

 

 

 

僕は絶望した。

 

 

 

 

 

あんなに頑張っていたのに、何で僕がこんなことに。これからもっと頑張って日本代表だって。

今思えば自惚れていた部分もあったが、本気でやれば希望がないわけでもなかった。と思う。

 

そんな絶望の日々を過ごしていた僕は、すがるようにバガボンドを読んだ。

そして沢庵が言った。

 

 

1枚の葉にとらわれては

木は見えん

1本の樹にとらわれては

森は見えん

『バガボンド』 4巻

 

 

ハッとした。

僕は目の前のものしか見えていなかったのではないだろうか。

自分の価値観の中だけで生きていたのではないだろうか。

もっと視点を変えて生きてみればいいのではないだろうか。

 

「天パは悩んだり嫌がるのではなくて、仲良くなればいいのではないだろうか」

 

そうして、僕と天パの対話が始まった。

まずは、髪の毛達にイメージを伝えることからだった。

自分達がどうなりたいのか、ゴールを想像することが大事だと思ったからだ。

そう思った僕は、理想の天パ像を思い浮かべた。

そしたらあまり時間が経たずに、ふっと浮かんできたものがあった。

「アメリカの子供」だ。

あの金髪ヘアーにクルックルの髪の毛。そうだ。アレしかない。アレを目指そう。

 

そうなると、今の自分に足りないのはまず髪の毛の長さだった。ロン毛は無理だけどある程度は伸ばさないといけない。

ここは時間が解決してくれるから、さあ次の問題だ。

 

次は何だ。そうだ。髪質だ。

高校生の僕が考えたのは、シャンプーとコンディショナーである程度理想に近づけるのではということだった。

というのも、実家では家族全員が違うシャンプーを使っていた。

そのいろんなシャンプーを使っていると、翌朝の髪の毛達のコンディションが違うことに気付いたからだ。

しっとりするもの。パサパサするもの。ごわっとするもの。

結果、1番髪の毛達の評価が高かったのは姉がたまに使っていたパンテーンだった。

髪の毛達もいい具合に仲間達と束になりながらも正気を保っている。

しかも、なんか女の子みたいないい匂いがする。

シャンプーはこれで決定だ。

 

コンディショナーはどうか。

これもいろんなものを試すことができた。

しかし、コンディショナーは総じてしっとりするものが多く、合うものがなかった。

なんせ、髪の毛達の団結力が高まり遊びが効かなくなる。それ以上に、しっとりするからなのかクルっとなりやすい。

そのため僕は、コンディショナーは使わないという選択肢を選んだ。それが当たった。

うまい具合にフワっとした広がりが生まれ、束になる者や一匹狼の者などバランスよくコミュニティができ始めていた。

髪の毛が痛む?........髪質はこれで解決した事にした。

 

 

この頃には毛母細胞の活動により、ある程度髪の毛達も伸びていた。

そこで次に問題になってきたのは、髪の毛達のセット問題だった。

今まで髪の毛が短かったこともありセット力が強めのワックスを使っていたが、伸びた髪の毛達には相性が非常に悪く、機嫌が悪い。

というのも、強すぎるワックスだと髪の毛達が直立不動になる者、影響を受けない強靭な者とに分かれており、全体に満遍なくつけることができない。

粘り気が少なく伸びやすい、しかし僕の髪の毛達をまとめられる、統率力が強いワックスが必要だった。

 

僕は薬局へ行った。

ワックスコーナーに一際目を引く入れ物のワックスがあった。

ウェーボデザインキューブの緑色のやつだ。

髪のお告げにより、これだ!と

 

買った。

使った。

なんだこれ!求めていたやつじゃないか!

 

程よい粘り、セット力も申し分ない。匂いも良い。良いものに出会った!

しかし、使っていくうちに分かったことがあった。セット力が強めだったこともあり、髪の毛達がビビってしまって姿勢がいい者が多い。

もう少し髪の毛達に自由を与えたい。この子達を縛り付けたくはない。

そうして行き着いた方法は、手を洗った後の濡れた手でヘアワックスを取り、少し水と混ぜるという方法だった。

こうすることにより髪の毛全体にヘアワックスが行き渡り、ちょうどいい湿度により髪の毛達を制御しながら自由に遊ばせる事ができた。

 

天パが、話を聞いてくれている。

 

天パが、思うように動いてくれている。

 

天パと、仲良くなれたのである。

 

僕は髪の毛達と対話を繰り返しながら、限りなく理想に近い天パを手に入れた。

もちろん今でも、湿気が多い状態だと僕の髪の毛達は正気を失い、理性を崩壊させた魔物達が頭の上で踊り狂っている。

しかし今、僕が天パということに気づく人間は、熟練の技術を持った美容師か、天パマスターしかいない。

天パのことを、忌み嫌ってはならない。

本当に自分の髪の毛達のことを、あなたは知っているだろうか。

無理やり、言うことを聞かせようとしているのではないだろうか。

天パは生まれ持った個性であることを忘れてはならない。

天パはあなたの一部だ。

 

天パに悩むそこの人類、天パと仲良くなりなさい。